【2017年横浜市長選】横浜市の図書館の課題についてのアンケート

横浜の図書館の発展を願う会では、来る2017年7月30日横浜市長選挙の立候補者3名に対しアンケートを送付し、回答を頂きました。アンケート内容と回答を以下に公開いたします。

 

横浜市の図書館の課題についてのアンケート(原文)

平成29年7月16日

市長選立候補者  林文子、長島一由、伊藤大貴 様 (届け出順)

横浜の図書館の発展を願う会 代表 溝井正美

 

横浜市の図書館の課題についてのアンケート

日ごろ横浜市の図書館について深いご理解とご支援をいただき感謝申し上げます。

さて、私たち「横浜の図書館の発展を願う会」は、横浜市立図書館が地域の情報拠点として発展するために、図書館と協働して、図書館の価値を広く市民に伝え、図書館サービスの充実を願って活動することを目的に平成19年11月に設立された団体です。

ご承知のように横浜市立図書館は、市民に広く親しまれている施設ですが、図書館数の不足、資料費の削減、指定管理者制度や窓口業務への民間委託導入による図書館サービスの低下など、厳しい環境の下にあります。市長選を機会に、より明確な図書館政策についてのお考えをお示しいただきたく、下記のとおりアンケートを提出させていただきました。

ご多忙の中、誠に恐縮ですが7月23日までに文書でご回答くださいますようお願い申し上げます。なお、ご回答はホームページ等で公開させていただきますことをご了承ください。何か質問がありましたらご遠慮なく連絡担当に問い合わせていただきたく、よろしくお願い申し上げます。

【連絡先】横浜の図書館の発展を願う会 連絡担当 福富洋一郎

(連絡先は、個人情報保護の観点より省略)

1.図書館政策の基本的考え

「図書館は文化のバロメーター」「図書館は知の拠点」と言われますが、横浜市の文化・教育行政における図書館の位置づけについてお考えをお聞かせください。

2.横浜市立図書館の課題(図書館数、資料費)

横浜市には、公立図書館が1区1館合計18館しかありません。1館当たりのサービス対象人口、市民一人当たりの蔵書冊数・貸出冊数は、20政令指定都市の中で20位・19位、つまり最低レベルです。また、年間の資料費も、人口が100万少ない大阪市より4千万円も少ない2億1000万円(2015年度)で、市民一人当たり、年間56.3円とこれも19位の最低レベルです。(別紙1参照「横浜市の図書館 2017(横浜市立図書館年報)10 他都市との比較」)また、神奈川県内でも最低レベルです。

このような横浜市の社会教育機関の課題を克服し、図書館を振興・発展させるためには、どのような図書館政策が必要だと考えていらっしゃいますか?

3.図書館への指定管理者制度の導入

横浜市では、試行的に平成22年度から5年間、青葉区の山内図書館に指定管理者制度を採用し、平成27年4月から第2期目としてさらに5年間継続しています。18館のうち1館のみ採用したのは、指定管理の評価をするためであり、本年度は中間期として「総合的評価」を行う年です。ご承知のように、社会教育機関である公立図書館に指定管理者制度を導入することは大きな課題があり(別紙2参照「日本図書館協会の見解」要約版)、市会において指定管理者制度の導入の審議をしたときに、5項目の「附帯意見」が付きました(別紙3参照)。指定管理者制度を導入について、または山内図書館を直営に戻すことについて、どのように考えていらっしゃいますか?

4.図書館の窓口業務の民間委託

横浜市では、中央図書館の他、地域館2館(都筑図書館・戸塚図書館)の貸出・返却等の窓口業務に民間委託を採用しています。本来一体的に図書館サービスをすべき図書館現場でなければならないのに、請負契約のため司書が現場で直接指揮命令が出来ず、また3年毎入札で受託の民間会社も変わるため、民間委託のデメリットが散見されます。窓口業務務の民間委託化についてのお考えを聞かせてください。

5.図書館員の人材育成

言うまでもなく、図書館の運営において、「ヒト」「カネ」「モノ」などの経営要素のうち、特に「ヒト」は大切だと考えられます。幸い横浜市では図書館に司書を継続して採用し直営の図書館に配置しており、そこで培われた司書のスキルは全国的に高い評価を得ています。図書館による課題解決支援のためには、専門的職員(司書)の確保とその研修が必要と考えますが、その方策をお聞かせください。

6.図書館協議会の設置

横浜市には、図書館協議会がありません。市民と図書館が協働して図書館の振興・発展を図るためには、図書館法第14条に基づき、情報公開と民意に基づく図書館協議会が必要だと思われますが、お考えをお聞かせください。

7.学校司書の配置と学校図書館の活性化

横浜市では、2016年4月に、市内全ての小中・特別支援学校の図書館への「学校司書」の配置が完了しました。このことによって、市内の学校図書館が活性化し、子どもたちの読書環境は大きく改善されています。また、学校図書館が校内の教育活動を支援することによって、よりよい授業づくりに貢献しています。

一方、学校司書の採用に関しては、司書資格が問われないなどの問題があります。

また、学校司書の待遇についても、フルタイムで勤務できない、通勤手当が支給されない、最大で5年までしか勤務できないなど、課題が残されています。学校図書館の充実に必要な学校司書の専門性を確保し継続させるために、司書資格を採用の条件とするお考えはありませんか?

また、人的な施策だけでなく、物流を含めた学校図書館間および公共図書館と学校間のネットワークの構築、さらには図書館資料費の拡大など学校図書館の活性化の施策について、どのように考えていらっしゃるかお聞かせください。

以上

【2017年横浜市長選】横浜市の図書館の課題についてのアンケート(PDF)

 

各候補からの回答(回答到着順)